各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞 (第37回)
愛知県住宅供給公社 理事長賞
名古屋の石場建て

敷地は名古屋市緑区大高城跡近くの住宅街に位置している。東と北の道路の向かいには小学校と保育園があり比較的緑が多く人通りも多い。敷地は南北で3mほどの高低差のある一種低層住居地域。
この建物は「手刻みや土壁など、伝統的な家づくり」を志した、当時30歳の大工が建てた自邸である。
戦後建てられるようになった、短寿命で大量の廃棄物を生み出す日本の住宅に違和感を抱き、戦前に作られていた長寿命で土に還る素材で構成された心地よい民家を目指し、極力伝統的な技法を採用した。
構造材は、天然乾燥の生きた材木を職人の手で刻み、ボルト類を使用せず、木のめり込みに頼った軸組とした。壁は竹小舞下地荒壁とし、合板・筋かいを使用せず変形性能の高い耐震要素とした。基礎は礎石の上に柱を立てる石場建てを採用し、大地震時の地震動を建物に伝わりにくい構造とした。また地耐力の不足を補うため布基礎とし、極力鉄筋コンクリートの使用を減らし、土間は真砂土と石灰の三和土で仕上げた。
仕上げ材は板・土・畳・木建・障子を採用。外構工事では、樋を設けず栗石と木杭で雨落を作り、駐車スペースは栗石敷きの路盤とし、敷地内の雨水を排水せず全て土に戻す。また土留めは猪垣を参考に木杭で組み上げ、土中の水を止めず空気も土に戻す工法とした。

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設計者:水野設計室/水野 友洋

講評:審査委員 井澤 幸

伝統的な家づくりを志す30代の若い大工の自邸である。長寿命で土に還る素材を用い、職人が手間を惜しまずつくり上げた住まいには、ものづくりへの気概が感じられた。田の字型平面に加えられた縁側は、通りと住まい手の視線をほどよく交わらせ、その空間も心地よい。こうした住宅が地域の製材所や林業を支え、それに賛同する人々の輪も広がりつつあるという事実に、未来への希望を感じた。住まい手、設計者、施工者など、関わったすべての人に賛辞を贈りたい作品である。

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