各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞 (第28回)
愛知県森林協会長賞
hanai

2匹の犬と建主のための住宅

建主は元々この敷地で築40年以上の木造2階建に住んでいたが。しかし2匹の犬が高齢になってきたことと、自身が60代半ばに差し掛かったことで2階を全く使わなくなっていた。本計画ではそれらの生活の変化に伴い、見通しの取れる平屋への建替えを行った。

この地域は度々水害が起きているエリアであり、特に敷地周辺部では道路面から800mm程度の高さまで水が押し寄せ、大雨時には近くの少し小高くなっている公共施設の駐車場に車を預ける光景が見られる。そこで、室内の床と車庫を道路面から1100mm以上とし、日常的な大雨には在宅で対処できるものとした。

入口から道路までの歩行動線は緩やかなものとし、ここで暮らす建主と犬が室内から庭を通りながら道路へ出ることや、時々施設から帰って来る90代のお母様の介護動線にも配慮している。また、歩行動線とは別に介護車両が玄関近くまでアプローチできる車路を適切に配置した。

軒は西に行くにつれて高く・広くし、南面には高さの異なる開口を設け、個々に異なる間隔で木製の縦ルーバー(断面30×120mm)を並べて覆った。こうすることで、小型犬の庭への視線を確保するとともに、室内の南側半分を占める一つの大きなリビング空間に、光と風の入り方の変化をつける。また、床を高くしたことでうまれる、道を行き来する人と視線の交錯を和らげ、外部からの侵入を遮ったり、暴風時には窓を守るなどの役割も持つ。

「水害対策」、「動線」、「視線」の観点を軸に、建主の新たな生活のスタートに寄り添い、家族、環境、日常…といった要素をおおらかな空間の構成でシンプルにまとめた。

応募時のパネルはこちら(PDFファイル)

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設計者:Studio[42]/酒井 亮憲・津布久 遊

講評:審査委員 廣瀬高保

2匹の犬と建主と時々介護施設から帰ってくる高齢なお母様のための住宅である。もとは2階建ての住宅であったが2階を全く使わなくなったため、平屋への建て替えを行った。長辺方向に駐車場までを片流れの屋根で覆うダイナミックな構造である。度々水害の被害に遭う場所で敷地の高さを前面道路から1m余り上げているが、軒の高さを抑え屋根の勾配を緩やかにしてあるので周囲への威圧感は無い。建物正面の木縦格子(ルーバー)が道路を行きかう人との視線の交錯を和らげ心地よいリズムを奏でる。

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