すまいる愛知住宅賞 (第32回)
住宅金融支援機構 東海支店長賞
大泉寺の家
まちの気配を生活空間につなぐ
郊外にある、ゆったりとした敷地に建つ二世帯住宅。緑豊かなこの地域に馴染む建築とまちのよい関係を探った。2 階( 若世帯) の生活空間を校庭とその先の緑地帯につなげ、高木の庭と半格子の建具でゆるやかな距離感を与える。くわえて道路との関係を腰壁でコントロールすることで、ちょうどよいまちの気配を取り込んでいる。1 階( 親世帯) のダイニングも低木と芝のマウント、柵も要素に加えて、まちとのいい距離感を探った。
芝のマウント沿い、高木がつくり出す木陰に2つのアプローチを通し、コンクリートのテーブル
やベンチなど、人の居場所となる仕掛けを散りばめ、暮らしがまちに溢れ出すことをさそう。そ
れがまちの風景となり、豊かな住環境につながることを願う。
二世帯間をほどよい気配でつなぐ
玄関のみを共有し、1 階と2 .br階で分離した二世帯住宅。L 字に曲げたプランは上下階の気配が窓越しに感じとれる関係をつくる。
共用玄関からそれぞれの気配が少しだけ感じられる空間のつながりをつくっている。
設計者:みのわ建築設計工房/箕輪 裕一郎
講評:審査委員 川野 紀江
郊外の緑豊かな土地に建つ二世帯住宅。まちと生活空間、各世帯間、の距離感が絶妙である。まず、前面道路と建物の間にある庭は周辺環境に溶け込み、芝のマウントや木々がまちとのほどよい距離感を生み出している。庭のベンチは、内外のコミュニケーションを育む場にもなる。2階の若世帯の居間には半格子の建具や腰壁が設けられ、高木を通してちょうどよい加減でまちの気配を取り込んでいる。また、二世帯は玄関のみを共有し、玄関からそれぞれの様子を感じ取る。L字型プランにより、同フロア間、及び、上下階間の気配を窓越しに感じ、それぞれの生活を尊重しながら安心して暮らすことができる関係をつくり出している。