各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞 (第32回)
名古屋市長賞
幾何学模様に出会える街の家

瀬戸市街に建つ、塔、あるいは堂のような住宅。
一辺6,825mmの正方形を45度ずらして積んだ2枚の床に、それを包絡する星型平面の外皮、八角形の方形屋根がかかる。
考えたのは、ささやかなランドマークとしての建ち方と、単純な幾何学でつくる住空間の可能性である。
敷地は坂野中ほど、空地と道路に囲まれ4面とも開けた場所で、東南の横断歩道は小学校の通学路になっている。まず塀を作らないと決め、大開口に拠らない(東京的でない)開放性を求めつつ、小学生たちの通学の記憶の一部になるような「ささやかなランドマーク」でありたいという思いから、塔のような・・・防御性を持ちつつ中~遠景への眺望を指向する建ち姿を考えた。
内部に入ると平面の幾何学性は消え、体験的には整形の床と屏風のような壁、という構成になる。床のずれによって生まれた三角形の吹抜けやニッチは矩計の床に対して様々な居場所をつくり、方位に対して等価にあけられた窓からは、ストロボ写真のように周囲の微地形と街並が360°入り込んでくる。
瀬戸焼の作家さんと付き合いが多いクライアント夫婦は、器づくりを楽しむように家づくりに向き合い、器を楽しむようにここでの生活を楽しんでくれているように感じている。

応募時のパネルはこちら(PDFファイル)

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設計者:水谷夏樹建築設計事務所/水谷 夏樹

講評:審査委員 澤村 喜久夫

坂道の続く不規則な家並みに建つ。八角形の屋根を持つ星形の家は、どの方角からも周りの景観になじむ一方で、非常に存在感がある。それは設計者の意図した通学路のランドマークともなっている。正方形平面を45度ずらした二層の床を包絡する外壁は16面、そこに設けられた窓にはパノラマの景色が映る。床のずれによって生じる三角形は、書斎や吹抜けなど様々な空間をつくり出している。幾何学が生んだ外観と内部空間に、住まう楽しみを感じる作品である。

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