すまいる愛知住宅賞(第33回)
佳作
知多の家
南側のマンションから、内部を見られたくないこと、主人が経営する会社の社員から生活感を見られたくないこと、道路の車や人通りなど外部環境に左右されやすい障がい者である子供の精神の安定を図ることを考え外部は木格子で閉じ、中庭を作り内に開くことにした。降下ばいじんがあり、屋根や外壁の汚染が懸念される。屋根材は濃色とし、外壁の汚れを考慮し軒は深く、その軒は水平で四方回り、長方形の形態であるため隅木は振れ隅としている。
一階のエントランスや玄関は、中庭からの直接光や反射光をあまり期待できない。あえて、玄関壁床タイルを濃色として陰影を強くし、薄暗く木漏れ日の下にいるように表現した。反転して二階部分は大きな中庭の四方から光を感じさせる空間となっており、廊下 階段 LDKに面して回遊導線とし、中庭に開かれた明るい開かれた空間としている。
障がい者の特性は多様性があります。普段生活している場所で気分が高揚すると、手すりなどよじ登る可能性があり、階段部分の木格子は二階の天井まで延長しました。自身の生活訓練のため洗濯場とバルコニーの物干 LDKの導線と連続しわかりやすい導線としている。バルコニーでは、シャボン玉をしたり、休憩したりする場所とし、バルコニーの手すりを超える恐れがあることや、外部環境にあまり左右されないように木格子で包んでいる。
障がい者である子供の洋室の開口部は閉鎖された小さな中庭に面しており、外部環境に左右されない空間としている。その室と共用部のLDKの間に少し閉鎖されたカームダウンスペースをつくっている。
今はその症状はないが、はがれたクロスを毮りとる症状がでる恐れがあるため仕上材はEPや漆喰材としている。いわゆる段差なしや車いす対応や手すりというバリアフリーではなく、障がい者個々の特性に対応した設計としました。
設計者:今井賢悟建築設計工房/今井 賢悟