すまいる愛知住宅賞 (第30回)
すまいる愛知住宅賞30回記念大賞
羽根北の家
第27回すまいる愛知住宅賞 入賞作品
住宅地に建つ二世帯住宅の計画である。個人住宅は公共的や周辺地域にどのように開きどこまで繋がることが可能だろうか。本計画では「隣接する公園/敷地内のアプローチ/内部空間」を「ひとつながりの場」として計画し生活や子供たちの遊び場がシームレスな関係になるよう計画した。 北側は庇と土間エントランス、南側にはプライベートガーデンを「緩衝スペース」として設けることで周辺環境と内部空間が緩やかに繋がっており、合わせて風の通り道となっている。世帯間は階段室と収納によるヴォリュームによって隔てられ引戸によってフレキシブルに区画されている。
2階は子世帯の居住スペースである。クライアントからの13の要望諸室を満たしながら互いに閉じることなく共存するために2階全体を一坪グリットに分割し、境界としての垂壁・腰壁を設置しそこに諸室を配置した。グリッド状の垂壁は視界を遮らない 無柱空間を実現している。腰壁は緩やかな境界として機能し立位時には全体が見渡せるパブリック空間となり、臥位や座位時は腰壁に隠れてプライベート空間となり、体位によって同一空間がパブリックとプライベートをあわせ持つ構成となっている。グリットにあわせた居室配置は水周りを除き子供の成長に合わせてフレキシブルに用途を変えられるようになっており、また2つのインナーガーデンが採光と通風を担うことで室内は風に揺らめく植栽と自然光によって外部環境とつながっている。
「住宅と周辺地域」「二世帯間」「居室におけるパブリックとプライベート」など各々の関係性を要点とした提案に対して、ご家族がそれら双方を横断しながら自由に暮らされていることが嬉しく思う。
設計者:佐々木勝敏建築設計事務所/佐々木 勝敏
選外佳作一覧審査委員長 古谷 誠章
惜しくも30回記念大賞には入賞しませんでしたが、入賞候補作品として選出されました作品です。