各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞(第31回)
佳作
カドニワの家

角地の特性を活かす”カドニワ”

敷地は名古屋市名東区にあり、大きな道を一本内に入りそれをさらに奥に進んでいくと現れてくる混沌とした住宅街の中にある角地である。
道路に2面接道しているが、その幅員はいずれも4m程度。周辺の道路環境の良さも手伝って、この4mの道路を通り抜ける車は皆無に等しく、同じ道に接道している住居の住人が使う程度の道路であった。道路というよりはむしろ、限られた人が使う共用スペースのような存在であり、角地に面する部分はさらにその傾向が強く"共用"を超えプライベートな気配さえ感じた。このプライベート性の高い道路に沿うように、開放的な"カドニワ"を設けることで、道路と敷地が"境界線"を超越した緩やかなグラデーションで繋がった関係となり、敷地により広がりを生み出した。その道路から"カドニワ"へと繋がるグラデーションを室内へも取り込み、どの部屋にいても外部の心地よさを感じるようなプランニングとした。

3.5畳の子供部屋とキッズリビング

家族構成は若い夫婦と小さな3人の子供達である。子供一人一人に個室を設けたが、その大きさはベッドと勉強机と小さな家具が入る程度の大きさ(3.5畳)とした。やや狭い印象ではあるが、その分キッズリビングと言う子供達が優先的に使えるセカンドリビングを共用部分に設けた。キッズリビングは兄弟や友達と遊んだり、宿題をしたり、映画を見たり、工作作品を飾るギャラリーにもなる場所であり、子供達が巣立った後も有効的に使えるように位置関係にも配慮した。

“カドニワ”と”スキップフロア”による空間のグラデーション

”カドニワ”によって道路を含む外部空間と住宅がシームレスに繋がり、敷地に開放感を生み出すと同時に住宅内にも外部空間を引き込んだ。カドニワに面したリビングは、そこでくつろいでいると、室内にいながらも外にいるかのような感覚となる場所である。またそのリビングと2階にあるキッズリビングはスキップフロアで繋がっており、2階にいても外部や1階の雰囲気が感じられる構成とした。

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設計者:植村康平建築設計事務所/植村 康平

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