人にやさしい家
末長く快適に住み続けるために
年を重ねると、知らず知らずのうちに身体機能の低下が現れてくる一方、日本の住まいは高齢者にとって不都合なところが多くあり、次第に使いにくさや危険を感じることがあります。
高齢者の不慮の事故による死亡者は、実は「交通事故」よりも「家庭内での事故」によるものが最も多く、3分の1を占めています。中でも、浴槽内の溺死・ヒートショック、床などで滑ったりつまずいたりして転倒、階段などからの転落・転倒が原因として挙げられます。
住み慣れた家で、安全で無理なく快適な生活が営めるよう、住まいのちょっとした工夫やリフォームを考えてみましょう。
住まいをより使いよくするポイント
- ポイント1 手すりをつける
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手すりをつけることによって、廊下の歩行や階段の昇り降りなどの移動を補助したり、玄関先や便座への立ち座りなどの動作を補助したりすることができます。大掛かりなリフォームをしなくても、日常生活を大きく改善することが期待できますが、使用目的や使用する人の身体状況に合わせて、形状・材質などの種類や、位置、高さを検討しましょう。また、新築時に、将来の設置を予測して下地補強をしておくことも大事なポイントです。
- ポイント2 段差をなくす
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床の段差をなくすことによって、転倒やつまずきを防止し、安全に移動することができます。また、車いすによる移動もスムーズになります。
バリアフリー改修の事例
- ポイント3 通路や出入り口の幅を確保する
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通路や出入口の幅を広く確保することによって、将来的な手すりの取り付けや、車いすの使用に備えることができます。また、引き戸など、安全で使いやすいドアを選ぶことも重要です。
- ポイント4 設備に配慮する
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加齢による視力の低下や視野の狭まりにより手指が滑らかに動かせなくなるほか、急激な温度変化に対応できなくなるなどの身体機能の低下を補うために、各種の設備に配慮しましょう。
- 水栓金具は操作しやすい形状で、温度調節が安全にできるものや自動制御されたものを選びましょう。
- スイッチは使いやすい位置に、操作しやすいものをつけましょう。
- 照明器具を適切に配置して室内を明るく安全にしましょう。
- 冷暖房設備を適切に設け、住まいの中の温度差をできるだけなくすようにしましょう。
- 通報装置を設け、緊急時に対応できるようにしましょう。
子育て世帯に適した住宅・住環境ガイドライン
愛知県では、『「子ども」も「大人」もお互いが楽しく安らいだ暮らしを実現する、良好な住宅・住環境をつくる』ために、「子育て世帯に適した住宅・住環境ガイドライン」を作成しています。
そこでは、次の4つの視点のもと、子育て世帯がいきいきと暮らすことができる住まいを実現させるための基本的な考え方を紹介しています。
子育て世帯のための4つのポイント
- ポイント1 子どもが楽しく遊び・学べる
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子ども自身が楽しく遊ぶことができ、基本的な生活習慣を身に付け、勉強やお手伝いなどが行いやすい住まいをつくることが重要です。また、家族や地域とふれあうことができる住環境づくりも子どもが心豊かに育つうえで大切です。
- ポイント2 親にとって子育てがしやすい
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子育て期の家事負担を軽減する住まいづくりは、親の心身の健康を確保することはもとより、子どもとの時間を十分に確保したり、仕事との両立を図るために重要です。
- ポイント3 子どもの成長に合わせる
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子どもの誕生や成長による、空間の広さや使い方の変化をあらかじめ想定し、対応できる住宅・住環境づくりが大切です。
- ポイント4 安全・安心で健やかに暮らせる
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子どもの事故やケガなど、様々な危険をできるだけ防止するとともに、犯罪や災害などから子どもを守り、安全で安心な住宅・住環境をつくることが必要です。また、子どもが健やかに育つよう、健康に配慮した住まいづくりも大切です。
サービス付き高齢者向け住宅
平成23年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が改正されたことにより、従来の高齢者円滑入居賃貸住宅・高齢者専用賃貸住宅の登録制度・高齢者向け優良賃貸住宅の認定制度が廃止され、サービス付き高齢者向け住宅に一本化した新たな登録制度が創設されました。
サービス付き高齢者向け住宅は、居室の広さや設備に関する一定の基準を満たすほか、バリアフリー構造等を有し、安否確認や生活相談サービスが義務づけられた民間の賃貸住宅です。 契約内容も、長期入院を理由に事業者から一方的に解約できない、敷金・家賃・サービス対価以外の金銭を徴収しない等の制限が設けられています。
また、サービス付き高齢者向け住宅の供給促進のための支援措置として、建設・改修費に対して国が直接補助を行うほか、所得税・法人税・固定資産税・不動産取得税の軽減措置や、住宅金融支援機構による融資制度があります。
シックハウスにご用心
室内で目がチカチカする、頭が痛い、アレルギーがひどくなったなどという経験はありませんか?これらは、室内空気環境が関係している可能性があり、その場合は「シックハウス症候群」と呼ばれます。
「シックハウス」問題の原因はなに?
ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)と呼ばれる化学物質が健康影響を引き起こすおそれのある有害物質です。建築材料や家具などに含まれる有害物質が揮発して室内空気を汚染することがあります。
家を建てたり借りたりするときの注意点
- 化学物質を抑えた建材・接着剤を使用した住宅を選ぶ
- 刺激臭を感じる物件は避ける
日常的にできる身近な室内空気汚染対策
- 換気
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まず「換気」に配慮しましょう。とくに冷暖房のために窓を閉め切る夏や冬は、換気に心がけることが大切です。春や秋でも温度が上がると有害物質が発生しやすくなるので、換気を心がけて下さい。
- 発生源の除去
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家具、カーテン、衣類なども汚染の原因となることがあります。また、塗料や芳香剤など、汚染源となる生活用品の過度な使用は避けましょう。