長く使い続けられる家
日本の住宅は、新築されてから壊されるまでの年数が、平均すると約27年(平成20年調査)と、欧米諸国と比較して短くなっています。また、日本では、昭和56年以降に建築された住宅が約6割を占める一方、昭和25年以前に建設された住宅は3%以下となっています。これに対して、イギリスでは昭和25年以前に建設された住宅が4割を超えるなど、長期にわたって住宅が活用されています。
良質な住宅をつくって長持ちさせて大切に使い続けるということは、環境への負担が低減されるだけでなく、長い目で見ると住まい手の居住費も軽減されることが期待できます。
より快適な暮らしを追求しつつ、きちんと手入れをしながら長く大切に使っていく「持続可能社会」へ転換していきましょう。
長期優良住宅
つくっては壊すフロー消費型の社会から、よいものを長く使うストック型社会への転換を目指し、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成21年6月4日に施行され、「長期優良住宅建築等計画認定制度」が創設されました。
所管行政庁の認定を受けた長期優良住宅は、所得税、不動産取得税、固定資産税、登録免許税について一般住宅よりも優遇を受けることができます。
愛知県は令和5年度までの累計で全国1位の認定件数です。
なお、平成28年度4月1日より、従来の新築住宅に加えて、既存住宅で増築又は改築を行う場合の認定制度が開始されました。
令和4年10月1日より、優良な既存住宅について、増改築行為がなくても認定できる制度が開始されました。
長期優良住宅の認定基準
- 劣化対策(耐久性)
数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。 - 耐震性
極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、 損傷のレベルの低減を図ること。 - 維持管理・更新の容易性
構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。 - 可変性※1
居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。 - バリアフリー性※2
将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。 - 省エネルギー性
断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。 - 居住環境・自然災害配慮
良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。自然災害による被害の発生の防止又は低減に配慮されたものであること。 - 住戸面積
良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。 - 維持保全の計画
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
※1:共同住宅及び長屋の場合 ※2:共同住宅等の場合
認定後の維持保全等
- 住宅の維持保全
認定を受けた方は、建築完了後、認定を受けた維持保全計画に基づいて住宅のメンテナンスを行わなければなりません。
維持保全計画基準
- 以下の住宅の部分について、仕様に応じた点検項目および点検時期が指定されたものであること。
(1)構造耐力上主要な部分(基礎、土台、壁、柱、小屋組、梁、すじかい等)
(2)雨水の侵入を防止する部分(屋根、外壁及びそれらに設ける開口部)
(3)給水設備・排水設備(給水又は排水の配管設備) - 上記の点検の時期がそれぞれ工事の完了又は直近の点検や修繕等から10年をこえないこと。
- 点検の結果、必要な修繕等を行うこととされていること。
- 地震時および台風時の臨時点検を実施することとされていること。
- 住宅の劣化状況に応じて、維持保全の方法について見直しを行うこととされていること。
- 計画に変更があった場合に必要に応じて維持保全の方法を変更することとされていること。
- 以下の住宅の部分について、仕様に応じた点検項目および点検時期が指定されたものであること。
- 認定を受けた計画の変更、住宅の相続・売買など
これらの場合には、所管行政庁に申請を行って認定又は承認を受ける必要があります。
- 所管行政庁への報告
所管行政庁から、長期優良住宅の工事内容や維持保全の状況について報告を求められた場合は、報告をする必要があります。所管行政庁から報告を求められたときに、報告をしない、又は虚偽の報告をした場合は、30万円以下の罰金に処せられることがあります。
- 建築や維持保全の記録の保存
法律により認定長期優良住宅の建築や維持保全の状況などに関する記録を作成し、保存しなければならないことになっています。