すまいる愛知住宅賞 (第29回)
人や地域にゆとりと安らぎを与えるようなやさしい空間づくりを提案した住まいを募集し、「ゆとりと安らぎのある住まい」を実現した住宅を表彰する「すまいる愛知住宅賞」も、今回で29回目となりました。
たくさんの素晴らしい作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。審査委員による厳正な審査を行い、入賞作品を決定しましたので、ここに発表いたします。
建物名称 | 設計者 | |
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愛知県知事賞 愛知県森林協会長賞 | まちに架かる6枚屋根の家 | studio velocity 一級建築士事務所 栗原 健太郎・岩月 美穂 |
名古屋市長賞 | 庭のあるシェアハウス | 鈴木崇真建築設計事務所 鈴木 崇真 諸江一紀建築設計事務所 諸江 一紀 |
住宅金融支援機構 東海支店長賞 |
| MARU。architecture 高野 洋平・森田 祥子 |
UR都市機構 中部支社長賞 | cocoon | 佐々木勝敏建築設計事務所
佐々木 勝敏 |
愛知県住宅供給公社 理事長賞 |
| 西口賢建築設計事務所 西口 賢 岩間建築設計事務所 岩間 昭憲 |
名古屋市住宅供給公社 理事長賞 |
| (株)エムエースタイル建築計画 川本 敦史・川本 まゆみ |
総評審査委員長 古谷 誠章
審査委員長をお引き受けして9回目となり、一次審査を公開とする形式、審査会後に審査員と応募者による意見交換会も定着して来ました。応募作品の質が年々向上し、受賞者がますます活躍しているのを見ることは審査員としても大きな喜びです。
今年はさらに一段と作品の多様性が増したのが特徴です。また、以前は数が限られていた集合住宅や、リノベーションによる佳作も数が多くなりました。多様な住まい方が求められていることの表れだと感じます。
今年の愛知県知事賞と愛知県森林協会長賞を受賞した《まちに架かる6枚屋根の家》は、その中で斜面住宅地の独立住宅という、どちらかと言えば典型的な立地にありながら、敷地を囲う擁壁を造らず、間口の広い敷地と道路の境界を緩やかな緑化法面として良好な町並みへの極めて重要な貢献をしています。住宅の存在感を6枚屋根によって細分化したことと合わせて、優しい表情が生み出されています。
名古屋市長賞の《庭のあるシェアハウス》は、単なる集合住宅の一歩上をいく良質な共同居住のあり方を模索しており、それぞれの個の住まいと「シェアされる暮らし」のバランスを、見え隠れする微妙な空間の凹凸と、綿密なオペレーションにより実現している点が注目されました。
もう一つの集合住宅《cocoon》は、賃貸住宅であるにもかかわらず、周囲の町並みとも共存するグレードの高いデザインが施され、棟間の隙間を巧みに自然光の導入に活かすなど、優れた設計の手腕を感じます。また集合住宅ではありませんが、親子の二世代三人が個のスペースをそれぞれに持ち、かつ互いの気配を付かず離れずに結ぶ《間の間の家》も、新しい住まい方を試行するもので興味深いと思いました。《光洞の家》の外部からは窺い知れない内部空間の完成度の高さ、《光庭の棲》の内外の空間をつなぐ大胆な試みも、それぞれとても印象的です。
参考
対象
- 平成24年4月以降に愛知県内で竣工した新築または増築の住宅
- 「安心・安全な住宅」「高齢者に優しい住宅」「環境へ配慮した住宅」など、人や地域にゆとりと安らぎを与えるようなやさしい空間づくりを提案した工夫がなされていること
- 現に居住していること など
- 応募点数
- 40点
- 審査委員(敬称略)
委員長 | 古谷 誠章 | 早稲田大学教授 (有)NASCA一級建築士事務所代表取締役 (一社)日本建築学会会長 |
委 員 | 笠嶋 泰 | 大同大学名誉教授 |
松原 小夜子 | 椙山女学園大学教授 | |
谷村 留都 | アールアンドエス設計工房 | |
廣瀬 高保 | (公社)愛知建築士会会長 | |
久保田 英之 | (公社)日本建築家協会東海支部愛知地域会地域会長 | |
朝岡 市郎 | (公社)愛知県建築士事務所協会会長 |