各種イベント・コンクール

すまいる愛知住宅賞 (第34回)
UR都市機構中部支社長賞
団地にアトリエと猫。

日本3大ニュータウンの一つである”高蔵寺ニュータウン”は7つの地区で構成され、その中でも最も古くから存在する藤山台団地の一室のリノベーションである。施主はご夫婦と愛猫1匹の3者。
奥さんが生まれ育った実家であり思い入れのある場所であったが、ご両親が亡くなり相続後しばらく空き家状態であった。
団地には珍しく規約でペット飼育可を認めている団地であり、日本画家である奥さん、本屋さん勤めでDIY工具持ちの旦那さん、そのお二人に愛される猫、三者の新たな共同生活の場所として古き良き団地に戻り、築50年を超える一室をリノベーションする事となった。
高齢化と空き家が問題化しつつあるニュータウンに於いて、
”ニュータウンで生まれ育った人間が、
一度離れた後に再び戻ってきて住処とする。”
という行動はこのエリアの今後に大きな可能性を示唆する。
築年数、設備の古さといったデメリットや、購入しやすい売買価格といった印象を超えた本来の意味での「住む魅力」を創り出せる事、本プロジェクトがこの団地の魅カ・可能性を引き出し提示するでこのニュータウンがこれから目指すべき価値の方向性に、一つの回答をもたらす事ができるかもしれない。

とりくみ
この物件は高蔵寺ニュータウンを再生させるベく集まった地元建築家グループによるプロジェクトの一貫であり、単なるリノベーション事例としてでは無く、様々な関係性構築を含めて、これからニュータウンヒ住む『人』のモデルケースとしてハードとソフトの両面からバックアップしている。プロジュクト初期より地元交流センター、まちづくり会社や市のニュータウン担当部署との情報共有、ペットや住まい手の生い立ちやこれからの生活スタイルに着目した記事の地元紙への掲載(計画中)、地元工務店との関係、地域イベント等の共有などプロジェクト全体が住まい手を中心とした緩やかなコミュティとなりつつある事も本プロジェクトの大きな特徴の一つである。

空間
住まい手の充実した生活スタイルとその存在が地域との新たな関係性を築き、これからの団地再生の象徴となっていく事を目指した。そのため施主以とりひとり(内、猫1匹)にとってこの先長い時間を生活するためのプライベートな居場所、また同時新たな家族形態(2人+1匹)のため適度な距離感を持った共同空間と、築50年以上経過している建物の物理的・設備的側面、不具合をクリアして、団地の新たな可能性を伝えられる空間をめざした。

応募時のパネルはこちら(PDFファイル)

写真

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設計者:合同会社ジンバルワークス/井村 正和

講評:審査委員 谷村 留都

奥さんが家族と住んでいた築50年の団地は、奥行より間口が広く、棟の間隔もゆとりがある。北側のDKを生かし、間仕切り壁を少し移動する程度の改変であるが、天然素材による内装と猫の居場所の工夫が相まって夫婦の暮らしが快適になった。団地改修の難しさは温熱環境の向上と、設備の刷新であるが、商品開発が進み手軽に利用できる。注目すべきは地元の建築家グループが、新たなまちづくりの一環として取り組んでいる姿勢である。

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