すまいる愛知住宅賞 (第28回)
人や地域にゆとりと安らぎを与えるようなやさしい空間づくりを提案した住まいを募集し、「ゆとりと安らぎのある住まい」を実現した住宅を表彰する「すまいる愛知住宅賞」も、今回で28回目となりました。
たくさんの素晴らしい作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。審査委員による厳正な審査を行い、入賞作品を決定しましたので、ここに発表いたします。
建物名称 | 設計者 | |
---|---|---|
愛知県知事賞 | ソトマで育てる、ソトマでつながる | 名古屋大学脇坂圭一研究室/ヒュッゲ・デザイン・ラボ 脇坂 圭一・斉川 尚樹・神谷 亮賢・服部 奨馬・笹野 直之 |
名古屋市長賞 | 透明な軸線 | 南川祐輝建築事務所 南川 祐輝 |
(独)住宅金融支援機構 東海支店長賞 | 社山の家 | +岩田知洋+山上弘建築設計事務所 岩田 知洋・山上 弘 |
(独)都市再生機構 中部支社長賞 | The Distance | (株)bandesign 伴 尚憲 |
愛知県住宅供給公社 理事長賞 | ふるまいの庭 | 服部信康建築設計事務所 服部 信康 |
名古屋市住宅供給公社 理事長賞 | Refill - 詰め替える | 裕建築計画 浅井 裕雄・吉田 澄代 |
愛知県森林協会長賞 | hanai | Studio[42] 酒井 亮憲・津布久 遊 |
総評審査委員長 古谷 誠章
審査委員長をお引き受けして既に8年目となりました。毎年のことですが、ますます応募作品の質が高まっているのは、私たちにとっても大変幸せなことだと感じます。
今年ひときわ顕著に感じたのは、人々の住まいというものが、単に成熟しているだけでなく、それぞれに住処と定めた土地に深い愛着を持ち、そこに暮らす喜びをクライアントが望み、建築家の一人ひとりがそれに真っ向から取り組んだ、その二人三脚ぶりに一つとして同じものはなく、独創的で世の中に唯一の充実した提案に結実したことです。立地が変われば当然そこでのベストアンサーも変わり、またクライアントが違えば、当然求めるものも異なってきます。模範解答を引き写して設計ができるというものではありません。
中でも今年の大きな成果は、複数の家族が隣り合って暮らすそんな住宅どうしの関係にアイディアの練られた優れた「売り建て住宅群」が誕生したことです。愛知県知事賞を受賞した《ソトマで育てる、ソトマでつながる》は、分譲の敷地境界を取り払った豊かで微笑ましい外部空間が素晴らしい計画です。三軒いずれのキッチンからもこの「ソトマ」を眺められ、また、重ね合わされたボックスというイメージを共有しながらも、それぞれに間取りが異なり、また金属外装も少しずつ異なる手法でデザインされています。建売り住宅がただのバリエーションの違いでなく、豊かな個性を持ちつつ全体をシェアする感覚が実現されています。
すべての作品にふれる紙幅がありませんが、名古屋市長賞の《透明な軸線》はまさにゆとりある立地条件を生かして、秀逸な建築のデザインと丁寧な職人技術に恵まれた住宅、また《Refill – 詰め替える》なども長く住まれて来た名古屋の都市部に、将来にわたって住み続ける希望を叶えた建築家の力量と良心が印象的でした。
どの作品も他には無い独特の魅力を持ち、幸福に愛知に暮らす確実な基盤が築かれていました。
参考
対象
- 平成23年4月以降に愛知県内で竣工した新築または増築の住宅
- 「安心・安全な住宅」「高齢者に優しい住宅」「環境へ配慮した住宅」など、人や地域にゆとりと安らぎを与えるようなやさしい空間づくりを提案した工夫がなされていること
- 現に居住していること など
- 応募点数
- 48点
- 審査委員(敬称略)
委員長 | 古谷 誠章 | 早稲田大学教授 (有)NASCA一級建築士事務所代表取締役 |
委 員 | 笠嶋 泰 | 大同大学名誉教授 |
松原 小夜子 | 椙山女学園大学教授 | |
谷村 留都 | アールアンドエス設計工房 | |
廣瀬 高保 | (公社)愛知建築士会会長 | |
久保田 英之 | (公社)日本建築家協会東海支部愛知地域会地域会長 | |
朝岡 市郎 | (公社)愛知県建築士事務所協会会長 |